Smiley face
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8月15日公開の「ChaO」の主人公ステファン(左)と人魚のチャオ ©2025「ChaO」製作委員会

 「ChaO」は水しぶきキラッキラのカラフルな映像がポップにダンスして楽しい! でも物語の中身がもっと詰まってたらな……。「The Summer/あの夏」は超地味なキャラの繊細な恋愛ドラマを堪能! でも表情のニュアンスを作画でもっと表現してくれたらな……。今回は、15日公開の個性派アニメ映画2作のお話。

 「ChaO」は、「鉄コン筋クリート」「海獣の子供」などのSTUDIO4℃が制作し、監督はこれが初長編となる青木康浩さん。気になる脚本担当者は公式サイトにも記載がないが、マスコミ向け資料によると「人魚姫」をベースに青木監督がストーリーラインを作り上げたとのこと。舞台はアジア風のレトロな町と未来型テーマパークが入り交じったような都市。平凡な会社員ステファンが人魚王国の姫チャオになぜか突然求婚され、人間と人魚の共生につながると世間の期待を集めるが、彼女のストレートすぎる愛と奇行に翻弄(ほんろう)されるばかり。「海の生き物をスクリューで傷つけない」という目的でステファンが開発した「エアージェット」のお披露目をチャオにぶち壊され、彼の怒りは爆発――。

 キャラクターのデザインは、デカくて丸い金魚みたいなチャオにとどまらず人間側もクセが強い。体形も、表情も、動作も、水しぶきのエフェクトも、色使いも小物のデザインも街並みも構図もみんな何かしらクセがあって「オリジナリティーを出すぜ!」という気概に満ちあふれています。それに加えて「少々形が崩れたって動かしまくってやるぜ!」とばかりに一つの画面で同時にいろんなものが躍って踊って、これも気概も満ちあふれています。あふれてびっちゃんびっちゃんです。やあすごい。ただ「クセのためのクセ」「動きのための動き」みたいなところがあって、ストーリーやドラマにとって時にはノイズに感じてしまいます。

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「ChaO」から。人魚のチャオは、水の中ではもっと人間に近づいた姿を見せる

 チャオの思考や行動は幼児っ…

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